日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。
四方山話33「お国自慢」
2017年12月04日 更新
九月の鑑定会では、筑前刀の代名詞左文字派の弘安刀(南北朝.大磨上)安吉(短刀在銘)を使った。
今回は時代を江戸時代に設定し、福岡石堂派(守次.利次)信国一派(吉政、重包)の四本を並べた。
守次、吉政は備前伝の丁字刃で利次、重包は山城伝の直刃調のたれ刃。
筑前のお国物とは思いつかなかったようで、その意外性が茎を開けた後は苦笑を通り越しての爆笑となった。
鎌倉、南北朝、真改、助広への入札と大間違いをした人達がうれしそうに笑っていた。
出品者の思惑どおりで、判者や解説をしながら満足感でいっぱいになった。
ところが本当の驚は、時代違いイヤだったはずなのに、いつの間にか、お国自慢、筑前刀自慢で盛り上がってしまったことである。
ここ筑前は隣が肥前、その高名振りに影が薄いのである。
地元の研修会、鑑定会でも出合うことが少い。
日頃のうっぷんが四本の筑前を前にお国自慢となっての盛り上がりであったのだろう。
中でも石堂本家を継ぎながら、若くして亡なった利次刀に話しがはずんだ。
実存刀が少く、父親の是次も後を追うように亡くなっているが、出品刀の出来が素晴しく、三百数十年前の利次の若死を惜しむ声が多かった。
何はともあれ、日頃の鑑定会が刀への深い所での感動や感興を興すのは、うれしいことであった。
= 江戸期の石堂一派で映りが鮮明なのは福岡石堂が一番 =
= 山城写しの信国一派は大阪新刀に肩を並べる =
お国自慢の =たわごと= でしょうが、このページをお読みの方々、皆さんが筑前新刀に出合った時、こんな =たわごと= に喜びいっぱいの刀好きが、福岡に居ることを思って下さい。
= 筑前新刀をどうぞよろしく =