日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。

5月定期鑑定研修会報告

2016年06月01日 更新

5月8日の鑑定研修会は、岐阜支部との交流会で、南区の中央公民館で開催しました。

岐阜支部の近藤氏に持参してもらいました鑑定刀は、下記の5振りでした。

参加者は博多支部員と長崎支部員の8名、筑後、八幡支部よりそれぞれ2名の参加で40名をこえ、

判者の近藤氏には大忙しの会になりました。

又、近藤氏持参の安親縁頭と古美濃目貫、博多支部員出品の鍔(武州住左安親作)

で小道具についての研修会も開催しました。

5.8研修会-1 5.8研修会-2

1号    太刀 銘 底銘 古青江極め、特別重要刀剣。 刃長 741mm、腰反り深く踏ん

    張りつき、先、伏しごころに小切先、鍛えは板目に杢交えて流れ、地沸ついて肌立ち、

    淡く乱れ映り立つ。刃文は直ぐに小丁子、小互目を交え、小沸厚く着き、金筋、砂流し

    頻りに掛かる。 茎、雉腿仕立て、目釘穴2個

2号    脇差 銘 表 陸奥守大道作 裏 大縄賢物 義辰。 刃長 362mm、先反り深く、

    身幅広い平造り、板目に杢交えて流れ、地沸ついて、地景入り、刃文、丸みのある互の目を

    高低に繰り返す三本杉風。 茎、生ぶ、目釘穴2個

3号    太刀 銘 国綱(古備前)。 刃長 774mm、腰反り深く先伏せにて、小切先、

    鍛えは小板目に杢交えて清良、地沸ついて乱れ映りが立つ。刃文。 大きな腰刃を焼いて

    直ぐ調の小乱に小丁字を交えて、刃縁に小沸厚く付く。雉腿茎に目釘穴2個

4号    短刀 銘 兼鶴 刃長 264mm 平造り、身幅やや広く先反り、表裏に刀樋を

    掻き流す。 鍛え、板目に杢を交えて肌たち、所々に地斑あり、映りが立つ。刃文匂出来の

    表裏揃いの上半は兼房、下半は氏房風。 生茎、桧垣鑢に目釘穴2個

5号    太刀 銘 備州長船祐光、差裏 万治元年戌閏十二月二六日 三ツ胴切落 山野

    加右衛門尉永久 花押。 重要刀剣。 刃長 643mm、浅い腰反り、先反り、幽かな

    乱れ映り、鍛え良く詰んだ小板目小木目、清良な地鉄。 刃文、小互の目に小丁字交え、

    小足、葉よく入り、重花丁字風のところもある。 生茎で、目釘穴1個

今回の鑑定刀はすべて古刀の在銘刀で、特に1号と3号は鎌倉前期の健全な在銘の太刀で、

極めて貴重な鑑定刀でした。 近藤氏には、詳しい資料と、賞に額装の粟田口久国の押し型

を頂き、厚く御礼申し上げます。 また、遠路参加して頂いた長崎支部、筑後、八幡支部の皆様

に感謝申し上げます。                            (武富記)