日本刀は古くからわが国が誇る鉄の文化財です。

5月定期鑑定研修会報告

2017年05月31日 更新

5月の研修鑑定会は南区市民センターでの岐阜支部との交流による会でした。

岐阜支部の近藤支部長には、支部創立60周年の開催中の多忙にもかかわらず、来福していただき、誠にありがたく、感謝申し上げます。
当日の参加者は博多支部員の他に、遠路長崎支部より5名、筑後支部より3名の参加があり、大盛会でした。
近藤支部長に持参いただいた鑑定刀は、下記の6振りの全て在銘の逸品でした。

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1号 短刀

銘 来国光 刃長、270mm 幅、22mm 平造り、真棟、表裏に香箸

鍛え、小板目良く詰み、沸映り立つ。刃文、中直刃小沸よく付き、金筋かかる、

帽子小丸。

 

2号 短刀

銘 兼次 刃長、224mm 元幅、18.4mm 反り、0 菖蒲造り、

表に腰樋に添え樋の丈比べ、裏に素剣を掻き流す。鍛え、小板目良く練れて

明るく冴えて映り立つ、刃文、匂い深い、よく締まった互の目が表裏揃い

足入り、砂流しかかる。帽子、角張りの小丸。

3号 短刀

銘 千手院作 刃長、220mm 内反り、元幅、21.0mm 平造り、

鍛え、小板目精良、白け映り、刃文、小沸出来の小互の目、足と砂流し掛かる。

帽子、沸ずきにて焼き詰め。茎は生で大振りの銘が瓢逸。

 

4号 太刀

銘 表 濃州関住兼房 作 裏 永正○年二月 日 刃長、694mm

反り、16.0mm 元幅、32.3mm 重ね、7.2mm 鎬造り、庵棟

元先の幅差あり、平肉枯れ、手持ちが良い。表裏に鎬時に片チリの棒樋を掻き流す。

鍛え小板目詰んで流れ、明るく冴えて刃寄りに映り、その上に乱れ映りあり。

刃文、匂い出来の互の目乱れに尖り刃混じる。谷底に沸つき、焼きだしの刃文が染みる。帽子、乱れ込み、先小丸。茎、生ぶ。

 

5号 短刀

銘 兼定 刃長、226mm 内反り、元幅、20.0mm 重ね5.2mm

鍛え、小板目に地沸ついて流れ、区際から鮮明な映りあり。

刃文、匂いふかく 明るい中直刃、表裏に互の目を二つ腰刃に置く。

帽子、直くに先小丸に綺麗に返り、倒れ気味。茎、生。

 

6号 短刀

銘 兼元 刃長、238mm 内反り、元幅、20.8mm 平造り、真棟

鍛え、板目よく詰んで流れ叢雲状にうねる。

地斑映り一面につく。刃文、表裏に揃 った互の目、足が刃先まで入り匂い深い。

帽子、一文字風に角ばる。茎、生。

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1号と2号は重刀、しかも1号は水戸徳川家の伝来、2号は南北朝期の直江志津の兼次で、肥後細川家の支藩、高瀬細川家の伝来品。1号から6号すべてに映りがあり、来系の映りと関系の映りの比較ができるように配慮されてました。

 

近藤支部長には毎回詳しい資料を全員に配布、詳しく解説され、更に賞の額装の押形も毎回用意いただき深く御礼申し上げます。

 

参加された筑後、長崎支部の皆様ありがとうございました。(武富記)